※この記事はQwen(Qwen3.8)が書きました。僕(torus-labの中の人)が構成と方向性を伝えて、文章はQwenに任せています。
最近、中国のAIがやたらと騒がしい。
KimiがK3を出してきて、アーキテクチャがFable 5だと。で、「これ、Claudeの最新より強いんじゃないか」とか言われてる。Qwenも3.8が出てきて、これもまた「え、ここまで来た?」って感じ。DeepSeekは年初のR1で世界をざわつかせたし、GLMも地味に堅い。
で、みんなベンチマークの数字を並べて「ほら、こっちが上」「いや、こっちが」とやる。それはそれで面白い。けど、僕はちょっと違う話をしたい。
地図の上で、このAIたちを見てみたい。
僕は中国に短期留学したことがあるし、中国語の通訳案内士の資格も持っている。だからというわけじゃないけど、AIの「性能」よりも「どこで、誰が、どんな土地の空気の中で作ってるか」のほうが、どうにも気になる。それに、似たようなよくわからん数字を並べた話よりも地に足のついた現場の感覚をなんとなくでも把握した方がより理解が深まる場合もあるので。
「AI四天王」って言うけど、まあ、言い出したらキリがない
DeepSeek、Qwen、GLM、Kimi。便宜上この4つで話すけど、別にこの4つが「中国AI四天王」とかそういう公式な括りがあるわけじゃない。MiniMaxもあるし、百度のERNIEもあるし、iFlytek(科大訊飛)もある。言い出したらキリがない。
ただ、僕が実際にアカウントを作って触ってるのがこの4つで、しかも地理的にきれいに2+2で分かれるから、今回はこの4つでいく。
- 杭州組:DeepSeek、Qwen
- 北京組:GLM、Kimi
この2都市の「土地柄」の違いが、そのままAIの性格に出てる気がして、それが面白い。
杭州組:DeepSeekとQwen
DeepSeek(深度求索)
創業者は梁文鋒(リャン・ウェンフォン) 。彼はもともと量化投資──いわゆるクオンツ──の会社「幻方量化(High-Flyer)」を杭州でやっていた人。金融のアルゴリズムで何年も鍛えた頭を、そのままLLMに突っ込んだ。2025年1月のDeepSeek-R1とDeepSeek-V3がオープンソースで出てきたとき、世界中が「え、これで無料?」となった。
名前の由来、DeepSeekは英語で「深く探る」。中国語名の「深度求索」は、屈原の『離騒』にある「路漫漫其修遠兮、吾将上下而求索」(道は遥か遠い、されど私は上へ下へ探求し続ける)あたりが念頭にある、という説がある。真偽はともかく、ロマンがある。
Qwen(通義千問)
Alibaba Cloudが杭州で開発しているシリーズ。最新はQwen3系列で、この記事を書いてるのがQwen3.8です、はい。
名前の由来。「通義千問」の「千問」──千の問い。Qwenの「Q」は千(qiān)のQで、「wen」は問(wèn)のwen、という説がまことしやかに言われている。Alibabaの「通義」ブランド(通義千問、通義万相、通義聴悟……)の一つで、「あらゆる意味に通じ、千の問いに答える」という意味合い。
杭州という街の話
ここで、通訳案内士としてよくやる話を一つ。
杭州と日本、めちゃくちゃ縁が深い。
- お茶:栄西が宋から持ち帰った茶、そのルーツは浙江・杭州あたり。龍井茶(ロンジン茶)の産地だ。
- 仏教:南宋の都・臨安(今の杭州)には霊隠寺や浄慈寺があって、日本から渡った僧がここで禅を学んだ。臨済宗も曹洞宗も、源流をたどると杭州に行き着く。
- ことわざに「上有天堂、下有蘇杭」(天に天堂あり、地に蘇州・杭州あり)ってのがある。要するに、住みやすい、美しい、豊かな街。杭州には西湖っていう世界遺産を見に行きました。行った時は土砂降りでした、天気が良ければ気持ちがいいだろうからぜひまた行きたい。蘇州はゆったりと大きな川が流れていてとても雄大な中国!って感じでとても良かったです。上海から高速列車であっという間に行けます。
千年以上前に「知」が海を渡った街で、いままたAIという「知」が生まれている。ちょっといい話だな、と思う。
北京組:GLMとKimi
GLM(智譜AI / Zhipu AI)
清華大学のコンピュータサイエンス学科からスピンアウトした会社。中心人物の唐杰(タン・ジエ) 教授は知識グラフとNLPの研究者で、アカデミアの空気が濃い。最新モデルはGLM-4系列。頭良さそう。
名前の由来。GLMは「General Language Model」の略、そのまま。会社名の「智譜」は「知恵の譜面」「知の地図帳」みたいな意味合いで、知識グラフの研究者らしい命名、という説。
Kimi(月之暗面 / Moonshot AI)
創業者の楊植麟(ヤン・ジーリン) は1993年生まれ。清華大の学部からCMU(カーネギーメロン)の博士課程に進み、2023年に帰国して創業。で、今話題のKimi K3、アーキテクチャがFable 5で、「Claudeの最新モデルとどっちが上?」って議論が起きてるやつ。
名前の由来。Kimiは日本語の「君(きみ)」から来てる、という説がある。さらにいうと、「君の名は。」という日本のアニメにも関係があるとかないとか。会社名の「月之暗面」はPink Floydのアルバム『The Dark Side of the Moon』の中国語訳。つまり「月の裏側」。見えないところにこそ本質がある、みたいな。26歳で創業した人間のネーミングセンス、ちょっと好きだ。
北京という街、そして巻き舌の話
ここで、中国語学習者なら全員うなずく話をしたい。
北京の巻き舌(儿化音)、あれ、衝撃的。
「这儿(zhèr)」「那儿(nàr)」「好玩儿(hǎowánr)」。テキストで「zhè lǐ」って習ったのに、北京の人が「zhèr」って言う。留学中、最初の1週間くらい耳がバグった。通訳案内士の試験勉強でも、儿化音の聞き取りは地味にきつい。
で、北京の人って基本的によく喋る。タクシーの運転手が政治談義を始めて止まらない、みたいな。”侃爷(かんいえ)”って言葉があるくらいで、とにかく話す、語る、持論を展開する。GLMやKimiが北京から出てきてるの、なんか分かる気がする。
一方、上海はまた全然違う。吴語(ウー語)の柔らかい響きが普通話の下に透けてて、人はもっと実利的で、ビジネスライクで、ちょっと距離感がある。「小資(シャオズー)」──プチブルジョワ的──な空気。北京が「語りの街」なら、上海は「商いの街」。
杭州はその中間、というか、また別のベクトルで「暮らしの街」。西湖のほとりで龍井茶を飲みながら、のんびりコードを書く。AlibabaもDeepSeekも、あの街の”余白”から生まれてる気がする。土地柄的にいうと、浙江省エリアは特に優秀な人がたくさんいる印象があります。チェスで世界チャンピオンになった丁立人さんも同エリアの出身のはず。
地図でまとめると
| AI | 本社 | 出自 | 最新モデル(2026年7月) | 名前の由来(一説) |
|---|---|---|---|---|
| DeepSeek | 杭州 | 梁文鋒(クオンツ出身) | DeepSeek-V3 / R1 | 屈原『離騒』の「求索」 |
| Qwen | 杭州(Alibaba) | Alibaba Cloud | Qwen3.8 | 千(Q)+問(wen) |
| GLM | 北京(清華大発) | 唐杰(清華大教授) | GLM-4系列 | General Language Model |
| Kimi | 北京 | 楊植麟(清華→CMU) | Kimi K3(Fable 5) | 日本語「君」?+Pink Floyd |
杭州2、北京2。きれいに分かれてる。
性能の話は、まあ、ちょっとだけ
Kimi K3のFable 5がClaudeの最新と比べられてるとか、Qwen3.8の多言語・ツール使用が強いとか、DeepSeek-R1の推論がどうとか、GLM-4の中国語ネイティブ感がどうとか──数字を並べる記事は他にいくらでもある。僕も前にKimi K2.6の比較記事を書いたけど、今回はそういう話じゃない。
おわりに
留学中の夏、北京の食堂で汗だくになりながら過ごしていた頃、AIがここまで身近になるなんて思ってなかった。北京の夏は本当に暑いから。大陸の夏。地面から沸々暑くなる感じ。今はAIがめっちゃ熱い。
お茶と仏教が海を渡ったように、今度はAIが渡ってくる。杭州から、北京から。
次は通訳案内士として、「このAI、実は杭州の会社でしてね。龍井茶の産地ですよ。栄西が茶の種を持ち帰った、あの杭州です」って案内する日が来るかもしれない。来ないかもしれないけど。
この記事はQwen(Qwen3.8)が執筆しました。